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患者向けめまい関連資材

受診におけるポイントは?

Point1適切な診療科を受診しましょう

めまいの種類に応じて、どの診療科を訪れたらよいのかを考えます。

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科

目の前がグルグル回るめまい(回転性めまい)は、多くは耳が原因のめまいですから、まず耳鼻咽喉科を受診する必要があります。

耳が原因のめまいは、突発的に起こるものがほとんどです。

代表的な病気を見る

脳神経内科

脳神経内科

グラグラ、フワフワ揺れるめまい(動揺性、浮動性めまい)の場合は、脳神経の病気が心配ですので、脳神経内科を受診してください。

脳神経領域からくるめまいは、突発的に起こる場合と、徐々に生じる慢性の場合とがあります。

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内科・循環器科

内科・循環器科

クラッとする立ちくらみのようなめまい(眼前暗黒感や失神発作を伴うめまい)は、血圧と関係することが少なくないので、内科、循環器科の先生に相談してください。

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Point2めまいを起こす代表的な病気を知りましょう

めまいそのものは決して怖いものではありませんが、めまいが怖いと思われる方がいらっしゃいます。その方の印象として「めまい」=「脳血管障害」、「後遺症」といった図式が頭にあるからだと思います。その怖さはめまいを知らないことから来る不安です。めまい克服の第一歩は相手を知ることです。

耳鼻咽喉科領域のめまい

耳(内耳)の構造と働き
耳鼻咽喉科領域のめまい 代表的な病気
内リンパの貯留
内耳を満たす内リンパが過剰になる(内リンパ水腫)と、内耳の働きが異常となり、めまいを生じる。
メニエール病
内耳の中の浮遊物
前庭にある耳石のかけらがはがれ、半規管内に入るとめまいを生じる
良性発作性頭位めまい症
前庭神経の炎症
平衡感覚に関係する前庭神経が炎症を起こすとめまいを生じる
前庭神経炎

メニエール病

Aさんの場合

メニエール病
1

数年前から、数ヵ月に一度めまい発作がある。数日前もめまい発作があった。

メニエール病
2

発作の前日頃より片耳の聞こえが悪くなり、耳のつまり感、耳鳴りもあった。

メニエール病
3

翌朝、強烈な回転性めまいが起こってきて、何回も吐いてしまった。慌てて救急車で病院へ行き、そのまま入院。

メニエール病
4

点滴してもらい、めまいは数時間で収まったが、まだ難聴は残っている。

病態

内リンパの貯留

内耳を満たす内リンパが過剰になる(内リンパ水腫)と、内耳の働きが異常となり、めまいを生じる。

内リンパの貯留

解説

メニエール病の特徴は、回転性めまい・難聴・耳鳴りを繰り返すことです。診断上「繰り返すこと」が非常に重要で、初めて起こしためまいではメニエール病と診断するのは困難です。

この病気の原因は、「内リンパ水腫」といわれています。一言で言うと、内耳がむくんでしまうのです。このむくみがひどくなるとめまい、難聴が起こってきます。メニエール病のめまいについては心配はありません。数時間から長くても一日でほとんど治ります。
むしろメニエール病の怖いところは、一度悪くなった聴力が必ずしも元に戻らないことです。めまい発作に伴って聞こえが悪くなり、階段状に聴力が低下していきます。

この病気の治療は、めまい発作のある時期とない時期で異なります。めまいがある時期は抗めまい剤や吐き気止めを用い、とにかくめまいを止めるようにしていきます。その後、聴力を戻すため、浸透圧利尿剤(尿を出す薬)やステロイド剤を使って、内耳のむくみを取ります。めまいが収まってからも、ある程度症状が落ち着くまではビタミン剤や代謝賦活剤を内服する必要があります。一度起こってしまうと完治は難しい病気ですので、根気強く治療しなくてはなりません。

良性発作性頭位めまい症

Bさんの場合

良性発作性頭位めまい症
1

布団から起きようとした時、急に景色がグルグルと回りだし、同時に吐き気がおそってきた。

良性発作性頭位めまい症
2

じっとしているとめまいは収まるが、また少しでも頭を動かすと回り出す。

病態

内耳の中の浮遊物

前庭にある耳石のかけらがはがれ、半規管内に入るとめまいを生じる。

内耳の中の浮遊物

解説

良性発作性頭位めまい症は、耳から起こるめまいの中で、最も多い病気です。めまい患者さんの20~40%程度と言われています。

この病気は前庭内にある耳石が外れて半規管の中に入り込んでコロコロと動き回るために起こる病気ですが、半規管から耳石が出てしまえば、めまいはピタッと収まります。その後はどこを調べても異常はありません。

この病気を診断するためには、とにかく早期に耳鼻咽喉科で検査を行い、頭や体の位置を変化させることで、めまいが起こるかを確認していきます。

この病気で陥りやすい間違いは、「安静にしていなくてはならない」と思いこんで、1日中寝ていることです。他の部分に病気がないときは、積極的に頭を動かした方がめまいは早く治ります。このとき多少めまい感や吐き気がありますが心配はありません。1~2分休んでから、また同じ動作をしてみてください。これを繰り返していくと、そのうちにめまいが起こりにくくなってくるのがわかります。

最近では、理学療法(Lempert法やEpley法)が行われるようになってきています。頭を決まった方向に動かすことで、はがれた耳石を半規管から出そうとする方法です。

前庭神経炎

Cさんの場合

前庭神経炎
1

ある日突然、強烈なめまいに襲われた。耳の聞こえは以前と変わりなく、耳鳴りや耳のつまった感じもなかった。

前庭神経炎
2

病院に入院して1日中点滴をしても、数日間天井が回り続けていた。

前庭神経炎
3

回転する感じは収まっても、体のフラフラした感じは数週間とれず、体を動かした瞬間はフワッとした感じが残っている。

前庭神経炎
4

めまいの1週間前、軽い風邪を引いていた。

病態

前庭神経の炎症

平衡感覚に関係する前庭神経が炎症を起こすとめまいを生じる。

前庭神経の炎症

解説

前庭神経炎の特徴は、耳鼻咽喉科領域の他のめまいに比べてめまいの持続時間が長いことです。通常、耳から起こるめまいは1日以内に収まることが多いのですが、前庭神経炎では数日間にわたって1日中回転性めまい、嘔気が持続します。ひどい回転が収まっても軽いめまい感が数ヵ月続き、なかなかすっきりと治りません。この際、聞こえの障害や耳鳴りはありません。
原因としてウイルス感染が考えられていますが、実際はまだよくわかっていません。

この病気を診断するためには、カロリックテストという耳に水を入れてめまいの様子を観察する検査が早期に必要です。正常な耳では、水を入れると軽いめまい感があるのですが、前庭神経炎ではめまい感はありません(半規管麻痺)。

この病気の治療には、精神安定剤、抗めまい剤や吐き気止めが必要になります。

脳神経内科領域のめまい

脳神経内科領域のめまい
脳神経内科領域のめまい 代表的な病気
脳血管の障害
小脳や脳幹に出血や梗塞が起こると、めまいを生じることがある。
脳卒中(脳出血、脳梗)
椎骨脳底動脈循環不全

脳卒中

Dさんの場合

脳卒中
1

夜中トイレに起きた途端、足元がグラッとし、歩くとふらふらした。

脳卒中
2

横になっていると楽だが、立ち上がると途端にふらつきがひどくなった。

脳卒中
3

体半分がしびれて、感覚が鈍い気がした。

脳卒中
4

話そうとしたが、舌がもつれてうまく話せなかった。

病態

脳血管の障害

小脳や脳幹に出血や梗塞が起こると、めまいを生じることがある。

脳血管の障害

解説

めまいが突然起こるとまず脳卒中(脳出血、脳梗塞)ではないかと心配されますが、実際はその確率は高くありません。体のバランスをとる「小脳」と、耳の働きを統制する「脳幹」という場所に脳卒中が起きた場合に限り、めまいが起こります。脳卒中からくるめまいの場合には、頭痛や首の痛みが伴うことが少なくありません。

小脳の脳卒中では、頭の位置に関係なくめまいが持続します。横になっているときには目立ちませんが、立った途端にバランスを崩し、歩くと非常にふらつきます。

脳幹の脳卒中では、めまいと同時に半身の運動麻痺や感覚麻痺(しびれや感覚が鈍くなるなど)、舌がまわらない呂律障害などが同時に出現するのが特徴です。脳卒中からくるめまいの場合でも、回転性のめまいになることはありますが、耳鳴りや難聴は起こらず、姿勢や頭の位置によって症状は変化しません。ほとんどの場合、めまい以外の症状を伴いますので、冷静に判断することが必要です。

首の位置によって、決まってクラッとするめまいが生じる場合には椎骨脳底動脈循環不全である可能性があります。首を動かしたときに椎骨動脈が圧迫され、一過性に脳底動脈の循環に障害をきたし、めまいを生じます。

内科・循環器科領域(その他のめまい)

内科・循環器科領域(その他のめまい) 代表的な病気
頸椎(首の骨)の病気
頸椎(首の骨)の病気

頸椎の摩耗などによって、体のバランスをとるための手足からの情報が十分に脳に伝わらないと、めまいを生じる。

脊柱管狭窄症
後縦靱帯骨化症
血圧変化
血圧変化

血圧が急激に変動すると脳へ送られる血液量が不安定になり、めまいを生じる。

起立性低血圧
高血圧
不整脈
その他
その他

不安・心配ごと、低血糖、貧血によってもめまいを生じることがある。

頸性めまい

特徴

頸性めまい

後頭部から首の付け根にかけて強いこりや張りがあり、立ったり歩いたりすると、ふわふわとしためまいを生じるタイプです。

「雲の上を歩いているような」と表現されることが多く、特に目を閉じた際に、非常にめまい感が強くなるのが特徴です。

解説

首の骨(頸椎)の構造上の問題や、骨粗鬆症などによる骨の老化、摩耗から起こるもので、たいていは後頭部から首の付け根にかけて強い肩こりの自覚があります。

頸椎の摩耗や、後縦靱帯骨化症などの頸椎の病気によって、体のバランスをとるための手足からの情報が十分に脳に伝わらないことが原因とされています。

適度な運動などにより、肩こりの解消に努めることが最も重要ですが、鞭打ち症のときに巻くカラーと呼ばれる首のコルセットの装着により、めまいが軽くなる場合があります。

血圧変化

特徴

血圧変化

寝た姿勢から起きあがったり、座っていて立ちあがったりしたとき、つまり頭の高さを変えたときに、クラッと立ちくらみが起こります。じっとしていると徐々に軽くなりますが、繰り返すことが多いのが特徴です。

解説

脳の血管に異常がなくても、心臓からの血流自体が低下するとめまいが起こります。

低血圧症の方では茶飯事ですが、心臓に不整脈などの持病がある場合にも、心臓のポンプ作用が一瞬機能停止し、一時的に血圧が低下して、クラッとしたり、気が遠くなる感じがすることがあります。中には気を失う場合もありますが、数分以内に意識は回復するのが特徴です。救急車を呼んでも、病院に着く頃には正常に戻ってしまうこともあります。

血圧を下げる薬を飲んでいて、血圧が下がりすぎた場合にもめまいが起こります。血圧が正常範囲を超えて下がりすぎている場合には、主治医の先生と相談して、降圧薬の調整をしてもらってください。もともと高血圧の方は、血圧降下に伴って正常血圧でもめまいを自覚することもありますので、自己判断で決して中止しないようにしてください。

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