眼振の実際
律動的に反復する眼球運動のことで、ゆっくりした動き(緩徐相)と速い動き(急速相)とを反復する衝動性眼振と、緩徐相と急速相の区別のはっきりしない振子様眼振とに分類される。
衝動性眼振は、その急速相の向きを眼振の方向とし、その方向により水平・垂直・回旋性眼振などとよばれる。
半規管に生じる内リンパ流動とこれにより生じる眼振(眼球運動)の方向に関する法則である。
第1法則と第2法則よりなる。その内容は以下の通りである。
内リンパの流動が半規管膨大部へ向かうとき(向膨大部性)と膨大部から流れ出るとき(反膨大部性)とでは、クプラに作用してひきおこす刺激の効果が逆である。
外側半規管(水平半規管)では向膨大部の内リンパ流動は刺激として、反膨大部流は抑制として働く。垂直半規管(後半規管、前半規管)ではその逆となる。
感覚毛が運動毛皮に傾斜すると興奮性の電位が発生する。外側半規管では卵型嚢側に運動毛があり、垂直半規管では卵形嚢側に感覚毛がある。
刺激となる内リンパ流動はその側に向かう眼振をおこす。
外側、前、後の各半規管が興奮あるいは抑制された場合に生じる眼振(眼球運動)の方向に関する法則。
以下に示す2つの法則から成り立っている。
1 | 半規管に角加速度(回転加速度)が加わると内リンパ流動が起こり、クプラを偏位させ、感覚細胞を刺激する。 |
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2 | 半規管はその半規管と並行した平面で眼振を起こす。 |
外側半規管が刺激を受け、これが興奮すると、同側眼の内直筋と対側眼の外直筋が収縮し、眼球は反対側に偏倚する(緩徐相)。
その後、眼球は緩徐相と反対方向に急速に動き(急速相)、正中眼位に復帰する。
半規管が刺激を受けている間このプロセスが繰り返され、刺激側向き眼振が出現する。
後半規管が刺激を受け、これが興奮すると、同側眼の上斜筋と対側眼の下直筋が収縮する。
上斜筋の収縮により眼球は時計方向に回旋すると同時に、下直筋の収縮により眼球は下方に偏倚する(緩徐相)。
その後、眼球は急速に反時計方向および上方に動き(急速相)、正中眼位に復帰する。
半規管が刺激を受けている間このプロセスが繰り返され、回旋成分(反時計方向)の強い上眼瞼向き眼振が出現する。
前半規管が刺激を受け、これが興奮すると、同側眼の上直筋と対側眼の下斜筋が収縮する。
上直筋の収縮により眼球は上方に偏倚すると同時に、下斜筋の収縮により時計方向に回旋する(緩徐相)。
その後、眼球は急速に反時計方向および下方に動き(急速相)、正中眼位に復帰する。
半規管が刺激を受けている間このプロセスが繰り返され、回旋成分(反時計方向)の強い下眼瞼向き眼振が出現する。
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