実践!めまいの治療
めまいの発作期には、激しいめまいとともに悪心、嘔吐などがあるため、症状に応じた対症療法を行います。 内服が不可能であることが多いため、静注や筋注が主となります。
7%炭酸水素ナトリウム注射液の静注あるいは点滴を行います。本剤は内耳血流を増加させ、内耳虚血時の酸素分圧の低下を抑制することにより、めまいを抑制していると考えられています。さらに、虚血部位のアシドーシスを補正し、機能改善にも役立つとも言われています。
投与時における注意点は、急速静注による血管痛を避けることと、炭酸水素ナトリウム濃度の低下により抗めまい作用が減弱することがあるため、他剤との配合に注意することです。
急性期では内服が困難であるため、鎮吐作用を示すメトクロプラミド静注などで処置します。メトクロプラミドの過量投与による錐体外路症状の発現には注意を要します。
不安が強い急性期のめまい患者には、ジアゼパムなどの抗不安薬を筋注します。抗不安薬は、前庭代償の初期過程を促進することによる抗めまい作用も持つと考えられています。
抗不安薬による呼吸器系および循環器系の抑制に注意が必要です。
効能・効果、用法・用量、その他の注意事項等情報につきましては、各薬剤の電子添文をご参照ください。
7%炭酸水素ナトリウム | 40~250mL 点滴 (症状に応じて用量を加減) |
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メトクロプラミド | 10mg 静注 |
ジアゼパム | 5mg 筋注 |
イソソルビド製剤、循環改善薬、抗不安薬、ビタミンB12 製剤、漢方薬などを投与
膜迷路の水腫軽減を目的に、浸透圧利尿薬であるイソソルビド製剤を投与します。方法は90~120mL/日、分3で開始し、めまい発作の状況により適宜増減します。減量は30mLずつとし、最終的に30mL/日にて発作が起きないことを確認した時点で終了します。即効性は期待できないため、数週間にわたる投与が必要です。ただし、長期投与による抗利尿ホルモンの作用亢進を防ぐためには、漫然投与は控え、めまい発作の反復、聴力変動など、疾患の活動性のある時期に限り投与することがポイントとなります。 これらの薬剤でめまい発作の制御が困難な場合や、低音域の聴力低下が著しい場合にはステロイド薬の投与を行う場合もあります。メニエール病においてステロイド薬を使用する場合には、ミネラルコルチコイド作用のないものを選択することが望ましいと考えます。ステロイド薬は通常2~3週間で漸減しますが、めまい発作が完全に抑制できない場合には、1~2ヵ月間、微量投与を行います。また、めまい発作時の応急処置として、浸透圧利尿薬とステロイド薬の点滴を行う場合もあります。
効能・効果、用法・用量、その他の注意事項等情報につきましては、各薬剤の電子添文をご参照ください。
イソソルビド内用液剤 | 90~120mL/日 分3 |
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アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物 | 300mg/日 分3 |
メコバラミン | 1500μg/日 分3 |
柴苓湯 | 1日量 分3 |
デキサメタゾン | 2mg/日から漸減 注)糖尿病患者に副腎皮質ステロイドを使用すると高血糖をきたす場合がある |
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レバミピド | 300mg/日 分3 (随伴する胃炎に対して) |
対症療法として抗めまい薬、鎮吐薬、抗不安薬などを投与
抗めまい薬、鎮吐薬、抗不安薬などを症状にあわせて投与します。また、ステロイド薬の投与(7~8日間ほどで漸減終了)を行う場合もあります。めまい症状(強い眼振が認められる場合)や悪心・嘔吐が高度な場合には基本的に入院を勧めます。
激しいめまいや悪心が減弱し、起立可能となったのちには、前庭代償を促進させるために、積極的に平衡訓練を実施します。平衡訓練の方法は、次の良性発作性頭位めまい症の項に記述した非特異的平衡機能訓練法をご参照ください。
効能・効果、用法・用量、その他の注意事項等情報につきましては、各薬剤の電子添文をご参照ください。
ベタヒスチンメシル酸塩 | 36mg/日 分3 (めまいに対して) |
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ジフェンヒドラミンサリチル酸塩・ ジプロフィリン |
40mg/回 1日3 回 26mg/回 1日3 回 (悪心・嘔吐、めまいに対して) |
トフィソパム | 150mg/日 分3 (随伴する自律神経症状に対して) |
メコバラミン | 1500μg/日 分3 |
プレドニゾロン | 30mg/日から漸減 注)糖尿病患者に副腎皮質ステロイドを使用すると高血糖をきたす場合がある |
レバミピド | 300mg/日 分3 (随伴する胃炎に対して) |
7%炭酸水素ナトリウム | 250mL/日 (めまい・嘔気が治まるまで) |
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ヒドロコルチゾン | 300mg/日 (2~3日ごとに100mgずつ漸減) |
頭位治療を基本とし、補助的に循環改善薬、抗めまい薬、抗不安薬などを投与
主な原因は、半規管結石症canalolithiasis(半規管内の内リンパに浮遊耳石が迷入する原因)と、クプラ結石症cupulolithiasis(半規管膨大部の感覚細胞の上部にあるゼラチン状の構造物であるクプラに浮遊耳石が付着する原因)に大別されます。基本は、耳石を半規管内から卵形嚢へ移動させることを想定した頭位治療(理学療法)を行います。
BPPVの理学療法 | ||
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原因半規管 | 病態 | 理学療法 |
後半規管 | 半規管結石症 | Epley法、Semont法 |
クプラ結石症 | Semont法、Brandt-Daroff法→Epley法 | |
水平半規管 | 半規管結石症 | Lempert法 |
クプラ結石症 | Brandt-Daroff法→Lempert法 | |
明確でない | 明確でない | 非特異的理学療法 |
頭位治療は原因となる半規管によって各方法が選択されます。
BPPVの約70%を占める後半規管型は
Epley法(半規管結石症に対して)図1
Semont法(半規管結石症およびクプラ結石症に対して)図2
あるいは
Brandt-Daroff法(クプラ結石症に対して)図3
を行います。
残りの約30%を占める水平半規管型は
Lempert法(半規管結石症に対して)図4
あるいは
Brandt-Daroff法(クプラ結石症に対して)図3
を行います。
ただし、原因となっている半規管が特定できない場合には、
非特異的理学療法(頭部運動によるめまいのリハビリ)図5
を行います。
図1
注:眼振が消失するまで各頭位で静止する
図2
図3
注:これらの運動を1日5~10回繰返し行う
図4
注:眼振が消失するまで各頭位で静止する
図5
注:1~6を1日4~5回繰り返し行う
頭位治療後に、めまいは治まっても軽度の浮動感やふらつきを訴える症例も少なくないので、そのような場合には、循環改善薬、抗めまい薬、抗不安薬などを症状が落ち着くまで投与した方が良いでしょう。 頸椎異常などのために頭位治療を行うことができない症例では、薬物療法でめまいの改善を待ちます。
効能・効果、用法・用量、その他の注意事項等情報につきましては、各薬剤の電子添文をご参照ください。
アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物 | 300mg/日 分3 |
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ベタヒスチンメシル酸塩 | 36mg/日 分3 |
トフィソパム | 150mg/日 分3 (随伴する自律神経症状に対して) |
めまいに抗めまい薬、循環改善薬、制吐薬、抗不安薬など、
難聴に循環改善薬、プロスタグランジン薬、ステロイド薬などを投与
めまいに対しては、抗めまい薬、循環改善薬、制吐薬、抗不安薬などを投与します。難聴に対しては、循環改善薬、プロスタグランジン薬、ビタミンB12製剤、ステロイド薬などを投与します。ただし、難聴が高度な場合には点滴によるステロイド薬の大量投与を行います。点滴治療を行う場合には基本的に入院を勧めます。治療の開始時期が予後を左右する一因と考えられているため、できるだけ早期の治療開始が望まれます。
高血圧症、糖尿病、ウイルス性肝炎などの既往がある場合には、ステロイド薬の大量投与は各疾患の厳重な管理下に、厳密かつ慎重に行わなければなりません。
効能・効果、用法・用量、その他の注意事項等情報につきましては、各薬剤の電子添文をご参照ください。
アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物 | 300mg/日 分3 (めまいに対して) |
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ベタヒスチンメシル酸塩 | 36mg/日 分3 |
ジフェンヒドラミンサリチル酸塩・ ジプロフィリン |
40mg回/1日3回 26mg/1日3回 (悪心・嘔吐、めまいに対して) |
トフィソパム | 150mg/日 分3 (随伴する自律神経症状に対して) |
リマプロスト アルファデクス (プロスタグランジンE1 誘導体) |
30μg/日 分3 (虚血性症状に対して) |
メコバラミン | 1500μg/日 分3 |
プレドニゾロン | 30mg/日から漸減(外来治療) 注)糖尿病患者に副腎皮質ステロイドを使用すると高血糖をきたす場合がある |
レバミピド | 300mg/日 分3 (随伴する胃炎に対して) |
アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物 | 80mg/日 |
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ヒドロコルチゾン | 500mg/日 (2~3日ごとに100mgずつ漸減)(入院治療) |
7%炭酸水素ナトリウム | 250mL/日 |
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