1929年、Fiske及びLohmannらが筋肉組織浸出物中にATP(アデノシン三リン酸)を発見して以来、多くの研究者により、その生体内における役割が逐次解明されてきた。
ATPは、いわゆるEnergy rich phosphate bondを有する化合物の代表的な物質として生体内に広く存在しており、生体内での必要なエネルギーはATPにより供給されている。また、ATPの作用には血管拡張作用があり、臓器の血流を増加するとともに組織の代謝を賦活し、機能を改善する。このような作用を有するATPは、欧米において治療薬として使用され、製剤として安定性を高める研究が行われてきた。
日本においては、1958年に注射剤として筋・神経疾患に対する適応が認められて以来、各科領域にまたがる循環改善・代謝賦活剤として使用されてきた。また、1964年以降、経口剤としてもその作用が発揮されるとして、臨床に使用されてきた。この間、外因性ATPの薬理作用の本体は、その非特異的な血管拡張作用により障害臓器の血流を改善するとともに代謝過程を賦活し、障害臓器の機能を改善する点にあることが明らかになっている。
アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物(ATP-2Na)を有効成分とするアデホスコーワ腸溶錠20・腸溶錠60注1)、顆粒10%注2)は1970年に承認された。顆粒10%については1988年に「メニエール病及び内耳障害に基づくめまい」の適応が認められ、現在、内科をはじめ循環器科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、眼科と各科領域において使用されている。
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