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医療関係者向け医療・医薬ニュース Kowa-HealthDay News

平衡機能検査

静的・体平衡検査

両脚直立検査

直立検査の一つである両脚直立検査について、解説します。 直立検査は、体平衡障害の有無と程度の評価、障害部位や障害側の推定、 疾患の経過観察や治療効果の判定、代償過程の程度の評価などが可能となるため、 静的体平衡機能のスクリーニングとして役立ちます。

原理

開眼時、閉眼時の身体の平衡を比較する。
特に、内耳、前庭神経障害、下肢深部知覚障害では、明るい所では、平衡は保たれるが、暗い所でふらつきが著しいことが知られている。小脳障害では、明所、暗所ともにふらつきが著しく、両者に差が少ない。

手技

1 両足をそろえ、両足内側縁を接して直立する。
両上肢は体側に軽く接し、頭位を正しく保って正面をみさせる。
2 開眼正面注視で60秒間観察した後、同様に閉眼60秒間の観察を行い、身体動揺の有無、程度、転倒方向をみる。
3 開眼、閉眼時の身体動揺の有無、程度、転倒方向、開閉眼での差などを記載する。

判定基準

  • 陽性:開眼、閉眼時の各々において、60秒間の身体動揺が明らかか、転倒するもの
      (軽度動揺+、高度動揺++、転倒+++)
  • ロンベルグ現象陽性:開眼と比べて閉眼の動揺が著しい場合

評価

  • 平衡障害の有無、程度が把握できるため、経過観察、治療効果判定、治癒の判定に有用である。
  • 身体動揺、動揺方向により病巣診断は決定しがたいが、転倒側の障害が推定される。
  • 一側へ転倒する傾向が著しい場合、同側の内耳~前庭神経~小脳の障害が考えられる。
両脚直立検査

Mann検査

直立検査の一つであるMann検査について、解説します。 直立検査は、体平衡障害の有無と程度の評価、障害部位や障害側の推定、疾患の経過観察や治療効果の判定、代償過程の程度の評価などが可能となるため、静的体平衡機能のスクリーニングとして役立ちます。

原理

両足を前後一直線上にそろえ、両足に体重を均等に荷重して身体動揺を検査する。

手技

1 両足を前後の一直線上にそろえ、足尖とかかとを接して(ツギ足立ち)体重を両足に均等に荷重して直立する。
両上肢は体側に軽くつけ、頭位を正しく保ち、正面をみさせる。
2 開眼、閉眼ともそれぞれ30秒間観察する。
3 前後におく足を左右交互にかえて検査を行う。
4 身体動揺の有無と程度、動揺方向、転倒の有無、転倒方向、Mann姿勢維持可能時間、不能などを記載する。

注意事項

  • 左右に不安定な姿勢なので、被検者が出来る範囲で検査を行う。また、転倒に注意を払う。
  • 視点の固定(固視点を設定、閉眼時は固視点をイメージさせる)が望ましい。
  • 閉眼での検査は開眼で検査足位をとらせ、ふらつきがほぼ安定してから閉眼させて行う。
  • ロンベルグ現象陽性:開眼と比べて閉眼の動揺が著しい場合
  • 小児や高齢者には不向き。

判定基準

  • 異常:開眼、閉眼時ともに30秒以内の転倒傾向

評価

  • 開眼、閉眼で、身体動揺、転倒傾向の認められるものを陽性とし、経度動揺+、高度動揺++、転倒+++とする。
  • 足の前後を変えても常に一方向に転倒するときは、同側の内耳~前庭神経~小脳の障害が疑われる。
  • 左右への支持面が狭いので、左右への転倒傾向の観察に適する。
Mann検査

単脚直立検査

直立検査の一つである単脚直立検査について、解説します。 直立検査は、体平衡障害の有無と程度の評価、障害部位や障害側の推定、疾患の経過観察や治療効果の判定、代償過程の程度の評価などが可能となるため、静的体平衡機能のスクリーニングとして役立ちます。

原理

片足で直立し、身体の動揺、転倒傾向を検査する。

手技

1 単脚で姿勢を正し、他側の大腿をほぼ水平に保ち直立する。
2 観察時間は30秒で、身体動揺の有無、程度、転倒方向、不能を検査する。
3 開眼、閉眼の右、左の単脚直立を観察し、検査中の挙上足の接床回数、接床時間などについても記載する。

注意事項

  • 不安定な姿勢なので、転倒に注意を払う。
  • 視点の固定(固視点を設定、閉眼時は固視点をイメージさせる)が望ましい。
  • 閉眼での検査は開眼で検査足位をとらせ、ふらつきがほぼ安定してから閉眼させて行う。
  • 小児や高齢者には不向き。

判定基準

  • 異常:開眼30秒の単脚直立で挙上足の1回以上の接床が行われた場合
       閉眼30秒以内に挙上足が3回以上の接床する場合

評価

  • 単脚直立検査の転倒傾向や動揺は平衡障害が推定される。
  • 立ち直り検査の観察、経過の判定が簡単に出来る。
単脚直立検査

重心動揺検査

他覚的な体平衡検査である重心動揺検査について、解説します。 重心動揺検査は疾患の経時的変動を推察する際に有用です。また、開閉眼の比較により、視覚による姿勢制御の影響、障害が脊髄求心系か迷路系か小脳障害かのおおまかな病巣診断が可能です。

原理

静的直立時の身体動揺から、身体長軸の支持、調節機構の観察を主とする。
重心位置が出力される重心動揺計を用い、重心位置の移動を記録する。

手技

1 被検者に対して重心動揺計の検出台の中央に、指定された方向を向いて、両足内側縁を接するようにして立ち、眼前2 ~ 3メートルの位置に置かれた視標をみるように指示する。
2 開眼で60秒間、引き続いて閉眼で60秒間直立し、動揺を記録する。
3 記録された動揺はコンピュータで解析される。

注意事項

  • 静かで、明るさが均等な部屋、音や視刺激による身体偏位が生じない条件で行う。
  • 原則としては裸足で検査する(薄い靴下であればそのままでも良い)。
  • 視点の固定(固視点を設定、閉眼時は固視点をイメージさせる)は、バラツキを少なくするのに役立つ。
  • 常に検査中の転倒に注意を払う。

評価

  • 平衡障害の有無、程度の把握(平衡障害のスクリーニング)
  • 疾患経過の観察
  • 治療効果の判定
  • 特徴的な動揺を観察しえた場合は、病巣局在診断
  • 平衡機能の発達、老化の観察
重心動揺検査