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動末梢性めまいの病態生理

監修:近畿大学医学部耳鼻咽喉科
教授 土井 勝美 先生

代表的な末梢性めまいの病態生理を解説します。

良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo: BPPV)は,特定の頭位で誘発されるめまい(頭位誘発性めまい)を主徴とし,これに随伴する眼振を特徴とする。
この病態として、耳石器(卵形嚢)から剥離した耳石の半規管感覚器(クプラ)への付着(クプラ結石:cupulolithiasis)説と半規管内に生じた浮遊耳石(半規管結石:canalolithiasis)説がある。個々の症例においてこれらのいずれかが、または、複合して病因となっている可能性がある。BPPVの多くは、後半規管もしくは外側半規管内への耳石の迷入により起こる。

クブラ結石

耳石器から剥離し、クプラに付着した耳石である。耳石が付着し、重くなったクプラは重力により鋭敏に反応するようになる。頭位変化によりクプラが正常と比べて大きく偏位し、眼振とめまいが出現する。

半規管結石

耳石器より剥離し、半規管の中に入り込んだ耳石である。頭位変化によって、耳石が半規管内を移動すると内リンパ流動が引き起こされ、眼振とめまいが出現する。

メニエール病

メニエール病確実例は、「難聴、耳鳴、耳閉感などの聴覚症状を伴っためまい発作を反復する。」と定義される。この病態は、内リンパ水腫と考えられており、1938年に山川(大阪大学)らがメニエール病症例の側頭骨病理として内リンパ水腫を初めて報告している。しかし、内リンパ水腫発生の原因は、未だ解明されていない。

メニエール病

現在、内リンパ圧亢進説や内リンパ水腫破裂説などがその原因として考えられている。

内リンパ圧亢進説

蝸牛で内リンパ水腫が生じると内リンパと外リンパを隔てているライスネル膜が伸展し、内リンパ圧が上昇することによって、内耳機能不全が起こるという考えである。基底膜は蝸牛の頂回転(低音域)ほど薄くかつ長く鼓室階側に偏位しやすいため、低音域を中心として感音難聴が生じる。前庭系の内リンパ水腫により眼振とめまいが生じる。

内リンパ水腫破裂説

内リンパ水腫が高度になってライスネル膜の一部が破れると、高カリウムイオンを含む内リンパが外リンパに流入する。高カリウムイオンを含む内リンパは、神経を脱分極させる作用があり、この内リンパが前庭に流入すると、前庭の有毛細胞や前庭神経が興奮し、患側向きの刺激性眼振とめまいが出現する。蝸牛においては、流入した内リンパは頂回転の蝸牛孔を通り鼓室階に至る。高カリウムイオンによる蝸牛神経の刺激や外有毛細胞の収縮により、低音域を中心とした感音難聴や耳鳴が発症する。

また、次のような症例をメニエール病非定型例と定義する。

メニエール病非定型例(蝸牛型):
難聴、耳鳴、耳閉感などの聴覚症状の増悪・軽快を反復するが、めまい発作を伴わない。
メニエール病非定型例(前庭型):
メニエール病確実例に類似しためまい発作を反復する。一側または両側の難聴などの聴覚症状を合併している場合があるが、この聴覚症状は固定性で、めまい発作に関連して変動することはない。

前庭神経炎

前庭神経炎は、突発的にめまいを発症し,強い回転性めまいが数時間続き、その時、蝸牛症状(耳鳴,難聴等)を伴わないのが特徴である。めまいの発症に感冒様症状が先行することも多く、ウイルス感染が考えられているが、病因は不明である。その他、血管障害説あるいは脱髄性病態説もある。

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