眼振の実際
各方向を注視させて前庭性異常または眼運動系障害に基づく眼振の有無を検出する。
1 | 坐位正頭位の患者の眼前50cm正面の位置に検者の指先またはボールペンなどの指標を示し、両眼で注視させる。 |
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2 | 両眼視のまま正面、左30°、右30°、上30°、下30°の各点の指先または指標を30秒以上注視させる。左、右、上、下方向を注視させる途中で一度正面視をさせる。 |
3 | 水平および垂直方向にゆっくり指標を移動し、追跡眼球運動を検査する。 また同様に各方向に早く指標を移動し、急速眼球運動を検査する。 |
正面視および左右上下30°注視で出現する眼振は病的
左右差のある場合や持続性の場合は病的の可能性あり
注視方向交代性 |
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中枢障害(小脳、脳幹)水平成分のみ、垂直成分のみの場合あり |
定方向性 |
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末梢障害(急性期)上図のように、すべての注視方向で眼振が生じるとは限らない |
回旋性 |
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中枢障害(下部脳幹)上図のように、すべての注視方向で眼振が生じるとは限らない |
フレンツェル眼鏡下、赤外線CCDカメラ下または閉眼、遮眼、暗所開眼でのENG記録時、静的な頭位変化による眼振を観察する。耳石器刺激による末梢および中枢前庭系の不均衡に基づく眼振を検出する。
1 | フレンツェル眼鏡あるいは赤外線CCDカメラを装着する。 |
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2-1 | 坐位 坐位正面から、右下、左下、背屈、前屈に頭位を変化させて眼振を観察する。 |
2-2 | 仰臥位 仰臥位正面から、頭部を右回し・左回し、次いで、懸垂頭位から頭部を右回し・左回しに頭位を変化させて眼振を観察する。 頸椎異常、脳圧・血圧異常者などでは無理に懸垂頭位をとらない |
明らかな眼振は病的
水平・回旋混合性 |
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坐位 末梢障害上図のように、すべての注視方向で眼振が生じるとは限らない 仰臥位・懸垂頭位 末梢障害(急性期)上図のように、すべての注視方向で眼振が生じるとは限らない |
垂直性 |
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坐位 中枢障害
仰臥位・懸垂頭位 中枢障害
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方向交代上向性 |
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仰臥位・懸垂頭位 外側半規管型良性発作性頭位めまい症(クプラ結石症)中枢障害の可能性あり |
方向交代下向性 |
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仰臥位・懸垂頭位 外側半規管型良性発作性頭位めまい症(半規管結石症) |
回旋性 |
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仰臥位・懸垂頭位 外側半規管型良性発作性頭位めまい症 |
急激な頭位変化(頭位変換)により、動的な前庭刺激を与えて生ずる眼振を観察する。
眼振は耳石器と半規管の刺激で誘発される。
1 | 頸椎異常の有無を問診する。 異常のある患者は検査を控える |
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2 | フレンツェル眼鏡あるいは赤外線CCDカメラを装着する。 良性発作性頭位めまい症(後半規管型)の診断目的 |
3-1 | 坐位頭部を右(左) に45°捻転→捻転したまま懸垂頭位にし、眼振を観察する→捻転したまま坐位に戻し、眼振を観察する。 |
3-2 | 坐位頭部をゆっくり懸垂頭位にし、眼振を観察する。 |
反対回旋性 |
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後半規管型良性発作性頭位めまい症 |
水平回旋混合性 |
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末梢障害上図のように、すべての頭位で眼振が生じるとは限らない |
頭振りの反復によって、潜在性の自発眼振を誘発させ検出する。
1 | フレンツェル眼鏡あるいは赤外線CCDカメラを装着する。 |
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2 | 坐位前屈30°などにて、頭を左右各45°(合計90°)位捻転しもどす。 10往復/10秒間、30往復/15秒間などの頻度で被動的に頭振りする方法がある。 |
3 | 正面位で停止し開眼させ、誘発された眼振を観察記録する。 |
明らかな垂直性眼振が出現する場合は、中枢障害が示唆される
参考資料
Equilibrium Res 65(6):468, 2006 平衡機能検査法基準化のための資料-2006年平衡機能検査法診断基準化委員会答申書、及び英文項目-
「イラスト」めまいの検査[改訂第2版]日本めまい平衡医学会編 診断と治療社
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